EU諸国では、AIを「e-person」として定義する可能性が出てきています。では日本は同じようにAIを人間として認めるのでしょうか。この問いに対して河島先生は「個人的には来ないと思う」と回答されました。
河島先生は続けて「ロボットを人間として認めると責任の所在がわからなくなる」とお話しされました。人工知能は言うなればロボットです。人間として認めるということは、ロボットが過失を犯した際にロボット自身で責任を取るというということが必要になっていきます。EUではその責任の所在に関して、実際に議会に抗議文が送られた事例があります。
また、AIを人間とみなすことはすなわち「ロボットと人間を一緒にする」ということになります。ですが、人間はロボットのように休みなくずっと働けるわけではありません。したがって、企業では仕事をお休みする日や休憩時間が設けられています。逆に、ロボットを人間として扱うということは、人間と同じように仕事を休ませる日や休憩時間を設ける必要になるということになります。
責任の所在やパフォーマンスの制限などの観点から、AIを人間とみなすことは、AIとの付き合い方として果たして本当に適切なのかという疑問が出てきます。それらの疑問が解決されない限り、日本でAIを人間として認める日はこないのではないかとお話しをされました。