「来るべき世界:科学技術、AIと人間性」は、人類が技術的特異点を迎えるにあたって、これからの社会や人間のあるべき形を考え、新たな未来を創造するためのプロジェクトです。現代美術のフィールドで活躍する作家たちによる展覧会と連動して、様々な分野の専門家たちによる領域を横断した講演やトークイベントで未来の姿を予測、検証し、来るべき世界に備えることを目的としたイベントです。
あらゆる時代において、人々はテクノロジーとそれが彼らの生活に与える影響を懸念してきました。H.G.ウェルズの古典的な作品であるスペキュレイティブ・フィクション『来るべき世界』の中で、彼はその作品が執筆された年から2106年まで未来の形について考察しています。ウェルズは、大量破壊兵器の開発のように既に実現されたことや、英語が国際語として政治的に強制されるといったまだ実現されていないことなど、様々な出来事に関する予測を行っています。 2019年はウェルズの予測のちょうど中間点であり、未来を見直す好機です。ウェルズの予測は、社会的・政治的現象に焦点を合わせていましたが、この展示会では、社会的・政治的構造の基本単位としての個人に焦点を当て、特に、人間個人と彼らが創造的表現のために依存し利用する技術との関係に着目します。
現在の技術的ツールは新しい種類の芸術的表現を可能にしており、そのいくつかは、この展覧会で示されることになります。さらに、人工知能とAIアプリケーションの開発によって、アーティストは新しい種類の自律性を作品に取り入れることができるようになり、新しい芸術的概念の探求を可能にしています。最後に、AIやAI関連ツールの存在は、人類の本質に加え、「自然的なもの」と「人工的なもの」の間での適切な関係の在り方に疑問を投げかけています。この展示会では、これらの分野の作品を集めて、それらの作品の間でのダイアログの場を創出します。
会期中の毎週末には、シンギュラリティ研究所の研究員による、様々な分野、領域を横断する連続トークイベントを行います。テクノロジーと創造性との交わりに加えて,AI時代に我々はいかに生きるかを考えていきます。みなさまのご来校をお待ちしております。